2025/09/27 10:08
観葉植物を長く美しく楽しむために欠かせないのが「剪定」です。適切な剪定は植物の健康を保ち、理想的な形に育てる重要な作業です。今回は剪定の基本から、人気の観葉植物5種類の具体的な剪定方法まで、詳しく解説していきます。
剪定の目的と重要性
なぜ剪定が必要なのか
観葉植物の剪定には、主に4つの重要な目的があります。
1. 植物の健康維持
枯れた葉や病気の部分を取り除くことで、植物全体の健康を保ちます。不要な部分にエネルギーを使わず、新しい成長に集中できるようになります。
2. 形の整備
伸びすぎた枝や葉を切ることで、バランスの取れた美しい株姿を維持できます。室内での配置に適したサイズに調整することも可能です。
3. 新芽の促進
適度な剪定は新しい芽や枝の発生を促し、より豊かで密度の高い株に成長させます。
4. 風通しの改善
密生した葉を間引くことで風通しが良くなり、病害虫の予防にもつながります。
剪定に必要な用具
基本の道具セット
剪定ばさみ
清潔で切れ味の良いものを選びましょう。植物の茎の太さに応じて、小型のものから中型のものまで準備すると便利です。
消毒用エタノール
使用前後のハサミの消毒に必要です。病気の感染を防ぐために、植物を変える度に消毒することをお勧めします。
軍手またはガーデングローブ
手を保護し、作業効率を向上させます。特にトゲのある植物や樹液の出る植物には必須です。
新聞紙やビニールシート
作業場所を汚さないための養生材料として用意しておきましょう。
剪定の基本
剪定のタイミング
最適な剪定時期は植物の成長期である春から初夏(4月〜6月)です。この時期は回復力が高く、剪定後の新芽の発生も活発になります。ただし、枯れた葉や病気の部分は時期に関係なく早めに除去しましょう。
基本的な切り方
枝を切る際は、節のすぐ上で斜めに切ります。切り口が大きすぎると病気の原因になるため、一度で綺麗に切ることが重要です。迷った場合は、少なめに切って様子を見ることをお勧めします。
切った後、樹液がハサミにつくので、ハサミのお手入れも忘れずに!
植物別 剪定方法
1. フィカス(ゴムの木)系統

剪定の特徴
フィカス類は成長が旺盛で、定期的な剪定が必要です。切った部分から白い樹液が出るのが特徴で、皮膚に着くとかぶれる可能性もあるので、樹液にはなるべく触れないように注意しましょう。
剪定方法
主枝を短く切り戻すことで、脇芽の発生を促します。大きくなりすぎた場合は、思い切って半分程度まで短くしても問題ありません。切り口は乾燥させてから水やりを再開しましょう。
増殖への活用
フィカス・ベンジャミンなどの一部の品種は、剪定した枝を挿し木で増やすことができます。10-15cm 程度の太さの若い枝を選び、切り口を乾燥させてから挿し木用土に挿します。
適用できる品種
- フィカス・ベンジャミン
- フィカス・ウンベラータ
- フィカス・エラスティカ(インドゴムの木)
- フィカス・アルテシーマ
2. エバーフレッシュ(ネムノキ科)
剪定の特徴
エバーフレッシュは羽状複葉を持つ繊細な観葉植物です。夜に葉を閉じる就眠運動でも知られています。成長が早く、定期的な剪定で美しい樹形を保てます。
剪定方法
伸びすぎた枝を節の上で切り戻します。全体のバランスを見ながら、内向きに伸びた枝や交差した枝を優先的に除去します。葉が密集している部分は間引き剪定を行い、風通しを良くしましょう。
適用できる品種
- コーヒーの木
- シマトネリコ
- ネムノキ
- アカシア類
3. フィロデンドロン

剪定の特徴
フィロデンドロンはつる性または半つる性の植物が多く、支柱に巻き付けて育てるタイプと、垂らして育てるタイプがあります。
剪定方法
つるが長くなりすぎた場合は、適当な長さで切り戻します。切った部分は水挿しで増殖させることも可能です。古くなった葉や黄色くなった葉は根元から切り取り、新芽の成長を促進させましょう。
増殖のポイント
フィロデンドロン系は剪定した茎を水に挿すだけで簡単に根が出ます。節の部分を含めて10-15cm 程度の長さで切り、水を入れたコップに挿しておくと2-3 週間で根が発生します。
適用できる品種
- モンステラ・デリシオーサ
- ポトス
- ハートリーフフィロデンドロン
- スキンダプサス
4. サンセベリア
剪定の特徴
サンセベリアは肉厚の葉を持つ多肉植物系の観葉植物です。成長は比較的ゆっくりですが、時々剪定が必要になります。
剪定方法
先端が枯れた葉や、傷んだ葉は根元から切り取ります。健康な葉でも、株のバランスを整えるために部分的にカットすることがあります。切り口は必ず乾燥させ、水が入らないよう注意しましょう。
適用できる品種
- アガベ
- アロエ・ベラ
- ハオルチア
- ガステリア
5. パキラ

剪定の特徴
パキラは幹が特徴的な観葉植物で、葉は手のひら状に広がります。成長が早く、定期的な剪定で理想的な樹形を作れます。
剪定方法
主枝の先端を切ることで、脇芽の発生を促します。樹形を整えるため、内側に向かう枝や弱い枝を除去しましょう。太い枝を切る際は、切り口に癒合剤を塗ると病気の予防になります。
適用できる品種
- シェフレラ(カポック)
- ドラセナ類
- ユッカ・エレファンティペス
- ブラッサイア
剪定を活用した植物の増やし方
剪定は植物の手入れだけでなく、新しい株を増やす絶好の機会でもあります。以下の植物は、剪定した部分を使って簡単に増殖させることができます。
水挿しで増やせる植物
フィロデンドロン系(ポトス、モンステラ、ハートリーフなど)
節を含む茎を水に挿すだけで、2-3週間で発根します。
エバーフレッシュ
若い枝を水に挿すと根が出やすく、初心者にもおすすめです。
挿し木で増やせる植物
フィカス系(ベンジャミン、ガジュマルなど)
切り口を乾燥させてから挿し木用土に挿します。
パキラ
若い枝を使った挿し木が可能で、成功率も比較的高いです。
剪定後のケア
大きな切り口ができた場合は、癒合剤を塗布するか、自然乾燥させてから通常の管理に戻します。特に樹液の出る植物は、切り口が完全に乾くまで水やりを控えめにしましょう。
水やりと肥料
剪定後は植物にストレスがかかっているため、水やりは控えめにし、直射日光を避けた明るい場所で管理します。新芽が出始めたら、薄めた液体肥料を与えて成長を促進させましょう。
季節別剪定のポイント
春(3月〜5月)
最も適した剪定時期です。積極的な剪定が可能で、新芽の発生も期待できます。
夏(6月〜8月)
軽い剪定に留めましょう。枯れた葉の除去や形を整える程度の作業が適しています。
秋(9月〜11月)
春ほど積極的ではありませんが、適度な剪定は可能です。冬越し前の準備として行います。
冬(12月〜2月)
基本的に剪定は避け、枯れた葉の除去程度に留めましょう。植物の休眠期なので、大きなストレスを与えないことが重要です。
観葉植物の剪定は、植物の健康と美しさを保つための重要な作業です。植物の種類や特性を理解し、適切な時期に正しい方法で行うことで、より長く美しい観葉植物を楽しむことができます。最初は失敗を恐れがちですが、植物は思っている以上に丈夫です。基本を守って少しずつ経験を積み、適切な剪定技術を身につけていきましょう。定期的な剪定で、緑豊かな癒しの空間を作ることができますよ。